COLUMN住まいのコラム

マイホームの費用から考える、総2階建ての間取りが多い理由

イエタッタ編集部
2020.02.28

マイホームを計画しようと思い立って調べた時、総二階建ての住まいをよく見かけます。

特に、建売住宅においては、その傾向が堅調です。

なぜ多いのか、もちろん明確な理由があります。

今回は、総二階建ての住宅が多い理由について考えてみましょう。

 

 

1.コストパフォーマンスが高い

総二階建てが多い最大の理由は、コストパフォーマンスの良さです。

同じ床面積で、凹凸の多い建物と、最小となる総二階の建物では、建物の表面積が変わります。

総二階は、表面積が最小になるので、材料が少なく、施工手間も少ない。

つまり、費用が安くなります。

凹凸が少なければ、平屋の直方体でも安いのでは?と疑問に思う方がいるはず。

平屋の場合は、基礎が大きくなります。

外壁や屋根よりも、コンクリートの塊である基礎の方が、面積当たりの単価が高い。

そのため、総二階よりも平屋の方が、コストアップになります。

特に、建売の場合は、価格の安さが魅力の一つ。

その魅力を最大限に活かした形である、総二階が多くなることは必然です。

 

 

2.構造的に安定しやすい

建物には、重さの中心となる「重心」と、強さの中心となる「剛心」があります。

地震時に、この2つの位置が重要です。

重心は建物の中心、剛心は窓や耐力壁の配置によって変化します。

建物が損傷を受けるのは、重心と剛心が離れて建物に「ねじれ」が発生した時です。

総二階の場合、建物はシンプルな直方体となり、重心と剛心の位置が離れにくくなります。

逆に、凹凸の多い建物の場合は離れやすくなり、損傷を受けやすく、構造的な工夫が必要です。

総二階には、構造的に安定しやすい特徴があり、大きなメリットとなっています。

 

 

3.小さな土地を最大限に利用できる

中心市街地では、小さな土地しかないことや、土地の坪単価が高くて小さな土地しか買えない場合があります。

そんな状況でも、暮らすために必要な床面積を、最大限に確保できる方法が総二階です。

建てられる建物の規模は、建ぺい率や容積率といった法規制で、制限されています。

建ぺい率は、敷地に対する水平投影面積(空から見た建物の平面的な大きさ)。

容積率は、敷地に対する延べ床面積(1階と2階の床面積の和)。

中心市街地の小さな敷地の場合は、建ぺい率で大きさが決まることが多い。

つまり、空から見た建物の大きさを、2階建てにすることが、その敷地で建てられる最大の床面積になります。

小さな敷地で総二階は、床面積を確保する有効な手段です。

 

 

 

4.総二階にする難しさ

総二階はコストが安い、構造的に安定しやすいというメリットです。

しかし、注文住宅で間取りの要望を伺うと、途端に難しくなります。

例えば、

 

・LDKと浴室等の水廻りは1階

・LDKにはくつろげる畳コーナー、子供たちの勉強コーナーが欲しい

・水廻りのそばにサンルームとファミリークロークが欲しい

・LDKから入れる食品庫が欲しい

・玄関の隣にシューズクロークが欲しい

・2階は寝室と子供部屋2室あれば十分

 

 

このように要望を出してもらうと、その多くは1階に集中してしまいます。

多くの方は、生活の中心となるLDKからの利便性を高めたいと考えるので当然です。

総二階にするためには、何かを諦めて1階を小さくするか、何かを2階に配置するかのどちらか。

要望の優先順位をつけながら、パートナーの住宅会社と相談しなければなりません。

このような理由から、総二階にする難易度は高めです。

 

 

もちろん、総二階にしなくても、コストを抑える方法はあります。

設計により、構造的な安定も可能です。

間取りとコストのバランスについて迷った時のヒントとして、覚えておいてください。

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