住宅空調設計
こんにちは、隅です!
前回の続きで全10回大阪府で行われた住宅空調設計講座の最終発表ではどのようなことを発表したのか少しだけ。
簡単にいうと夏、冬、梅雨の家全体の暖冷房除湿負荷を算出してそこから空調機器の選定などをしてさらに各部屋の暖冷房負荷を算出します。
そうすることで部屋が何℃くらいになるかはもちろんのこと、これをするとさらに快適にできますとかこれをしないと不快になりそうですなどこれはほんの一部ですが住む前に予言とアドバイスをすることができます。
経験と勘だけで家の環境を試行錯誤するのではなく計算と理論で伝えることができるということですね。
これは受講者がもらえるミライの住宅様が作成したエクセルシートで非常に便利なものです。
ですがただエクセルシートに入力すれば誰でもできるわけではなく空気線図上での空気の動きなどが分かって初めて使えるものです。
上の画像は冬の家全体の負荷を計算した結果、4,500Wの熱が必要と分かったというものです。
エアコンの吹き出し温度や風速も考えてエアコンが適格かも考えます。
プラスして何Lの加湿が必要なのかも算出します。
エアコンの容量が分かると冬の空調計画をします。
細かいところの説明をしていると長くなってしまうので省略。
今回の場合は床下エアコンで各吹き出し口からどれだけの熱が出てくるのか算出しています。
床下エアコンの吹き出し口もただ適当な数を配置すれば良いわけではなく、計算する必要があります。
それに加え、服を脱ぐ脱衣室は少し多めに熱を与えたり、玄関は玄関ドアを開けるので少し多めに熱を与えたりも考えながら進めていきます。
例えばこんな感じで。
脱衣室を22℃にしたい時、200Wの熱が必要となるのですが床の吹き出し口からは460Wの熱が出るようにしてありますので22℃になりますよと、服を脱ぐから少し多めに熱を出していますよと説明します。
これを夏は温度が高く、冬が温度が低くなりそうな個室で考えていきます。
こちらが夏の家全体の負荷になります。
家を冷やしきれるかもそうですが除湿もしっかりできるのかをエアコンの吹き出し温度や風量から温度を下げるために使う力と湿度を下げるための力をそれぞれ考えてエアコンを設定します。
エアコンの容量が分かると夏場の空調計画をします。
今回は2階ホールの壁掛けエアコンで冷房を行います。
エアコンからどれくらいの距離まで風速を保ちつつ冷気は届くのか、吹抜けや階段からはどれくらいの冷気が移動するのかそれぞれ計算していきます。
夏の空調計画ができると各個室の温度を確認していきます。
これくらいの温度になります→さらに温度を下げたい場合はこうすると良いですよ。という感じで提案することができます。
最後に梅雨時期
梅雨は温度は変えなくていいけど湿度は下げたいという設定温度に達すれば動きを止めるエアコンにとっては中々難しい問題。
しかも夏の除湿に関してもそうですが建物が高性能になるほど熱の出入りがなくなり除湿しにくくなります。
そこでどうしても湿度が高すぎる時は冷房と暖房を併用するという方法もあります。
上の画像では1,700Wの冷房をしながら1,000W分暖房を行い、わざわざエアコンに除湿させるようにしています。
こんな感じで非常に簡単な説明でしたが実際にお客様に説明するときはもっと詳しく説明します。笑
コストの関係で空調方法も限られることがありますのでそんな時もこのように計算することで空調の判断材料の1つになってくれると思います。
床下エアコンや小屋裏エアコン、全館空調、熱交換換気扇などたくさん惹かれるものがあると思いますが講座を受けると「この空調方法、熱交換換気扇を使ってるから大丈夫!」とはお客様の暮らしを考えると口が裂けても言えなくなります。
それくらい本当に家の空調について向き合える講座でした。